11月9日、数年ぶりに茨城県にある笠間湖を訪れた。小春日和に恵まれ、なかなかに心地よいドライブとなった。
  以前訪れた時は確か、常磐道を岩間ICで降りて一般道を走った覚えがあるが、現在では北関東自動車道が一部整備され、友部ICなるものが出来ている。 今回はここを利用した。
  常磐道から友部ジャンクションで北関東自動車道に入り、広々とした平野を走るとすぐに終点の友部ICに到着する。 そこからは国道355号線で笠間市を抜け、国道50号線を少々走り、金井交差点から北へ3qほど走ると上り坂にかかる。ここから右に分岐する道をさらに1qほど行くと左手に飯田ダムの堤体が見えてくる。

  笠間湖は茨城県が建設した飯田ダムによって出来たダム湖で、飯田ダム自体は堤体積72,000m3の小規模な重力式コンクリートダムである(写真―1)。

写真1 秋の飯田ダム写真2 飯田ダム管理所

  この日、飯田ダムに到着したのはちょうど正午頃で、ダムサイトの駐車場では、ワゴン車の中でお昼休みを過ごす作業服姿のおばさん達や、ダム見学の老夫婦、ウォーキングを楽しむ中年女性2人連れなどが見受けられた。
  ダムサイトの管理所はモダンなデザインで、秋の日を浴びて銀色に輝いていた(写真―2)。
  ダム湖を巡る道は車がほとんど通らないので、歩くような速さで車で一周してみた。
  以前来た時は、普通に走って一周してしまったので気付かなかったのだが、ゆっくりと廻ってみると、湖水が谷間に入り込んだ入り江のような箇所が随所にあった。また、湖岸には親水護岸も整備され、のんびりと釣り糸を垂れる人の姿もあった。
  湖畔はA〜Iの9つのゾーンに分けられ、それぞれがテーマを持っている(写真―3)。

写真3 飯田ダム周辺案内看板写真4 浮き桟橋?

  とりあえず湖を一周したあと、今度は要所要所で車から降りることにして、さらに一周することにした。
  まず、ちょうど堤体を正面に望むあたりで車を止めた。落ち葉の積もった遊歩道を下ってゆくと、浮き桟橋のようなものがあった。これには入り口に鍵がかかっていて中には入れないようになっている(写真−4)。
  その横の階段を下りていくと石畳の散策路が湖面に沿って延びていた(写真―5)。秋の穏やかな日差しに包まれつつ湖岸を散策する。眼前には森と湖。湖上には浮島があり、また鴨らしき水鳥が泳ぐ姿もちらほら。つかの間の安らぎに浸れる空間である。ボートやカヌーは禁止されているが(写真―6)、ここが水鳥の楽園であることを思えば、禁止は当然だと思う。

写真5 湖畔の散策道写真6 ボートやカヌーは禁止です

  再び車に乗り、やすらぎの水辺へと向かう。小さな流れに沿って湖岸まで小道が続いており、左手の小高くなったところには四阿がある。(写真―7)ここでお弁当でも食べると雰囲気良さそうだと思ったが、次の瞬間、四阿の周りにコンビニのレジ袋やおにぎりの包装セロハンが落ちているのを目撃して、折角の気分も台無しになってしまった。
  四阿はそこそこにして、今度はダム湖中につきだした円い半島へと向かった。案内看板によると、ここは湿性植物園(ハナショウブ園)ということであるが、今の時期、もちろん花は咲いていない。(写真−8)

写真7 四阿(手前の白いものはレジ袋)写真8 湿性植物園(ハナショウブ園)案内看板

  今年は台風が多かったせいだろうか、半島脇の入り江は枯れ葉の他に、ペットボトルや車のタイヤ、発泡スチロールなどの芥の吹きだまりと化していた。(写真―9)さらに歩を進めると、半島の先端部には折りたたみイスが据え付けてあり、その横には釣りえさのビニール袋も落ちていた。これは、ここを利用する釣り人が残していったものであろう。先ほどの四阿といい、湿性植物園といい、利用する人に、きれいに保とうという意識がないのは残念なことである。
  ダム湖の最上流端になるが、県道沿いのポケットパークといった感じのところに野鳥観察用の覗き窓が作られている。(写真−10)これは観察者の姿を晒さずに、つまりは野鳥に警戒心を与えずに水鳥の姿を観察できるシステムなのであるが、設置されている場所が県道沿いであるので実際どれくらい効果があるものなのだろうか?鳥は車の音には影響を受けないのだろうか?

写真9 芥の吹きだまりと化した入り江写真10 水鳥観察用の覗き窓
手前はガードレール

  たしかに県道は交通量がそう多くはないが、現時点では県道を挟んだところに採石場があり(写真―11)、ガッシャガッシャと石を砕く音がひっきりなしに聞こえてくる。この音はダム湖の中程まで響いてきていた。
  試しに覗き窓から覗いてみたが、見える範囲には水鳥の姿は無かった。(写真―12)

写真11 上流端脇を走る県道と採石工場(中央)
この右側に覗き窓がある
写真12 水鳥用覗き窓からの景色

  多くの人にダム湖で楽しんでもらいたいが、この素晴らしい環境も維持してもらいたい。これは、ある意味では相反することかも知れない。しかし、管理する人、利用する人、それぞれが常日頃からダム湖を汚さないように心がけていれば、この難題の解決も不可能ではないと信じる。

(copyright 財団法人 日本ダム協会)


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